【初めてでも迷わない】フリーランスの確定申告ガイド|開業届から申告完了まで全手順

お金・税金・社会保険(手取り設計)
  • フリーランスになったけど、確定申告って何から始めればいいの?
  • 青色申告と白色申告、どっちを選べばいい?
  • 会計ソフトは必要?税理士に頼むべき?
結論
確定申告は「正しい順番」で準備すれば、初めてでも自力でできます
青色申告+会計ソフト+e-Taxの組み合わせが最もコスパが良く、2027年の税制改正を見据えても最適解です。

僕はフリーランスエンジニアとして6年間、毎年自分で確定申告をしてきました。

開業届と青色申告承認申請書については事前にリサーチしていたので、開業時にきちんと提出できました。おかげで1年目から青色申告65万円控除は受けられました。でも、経費の計上で大きく損をしていたことに、2年目になって気づきました

何が経費にできるのかわからず、「迷ったら計上しない」を繰り返した結果、年間で数万円分の経費を取りこぼしていたんです。SaaSの月額課金、技術書、自宅の電気代の按分…今なら当然経費にするものを、当時はスルーしていました。

この記事は、あの頃の自分に向けて書いています。「これさえ読んでおけば、初年度から経費も控除も取りこぼさない確定申告ができる」という完全ガイドです。

開業届の提出から、毎月の帳簿付け、申告書の作成・提出まで、時系列に沿って全手順を解説します。

Contents

そもそも確定申告とは?|フリーランスはいくらから必要?

確定申告の基本

確定申告とは、1月1日〜12月31日の1年間の所得(売上−経費)を計算し、それに対する所得税を自分で申告・納税する手続きです。

会社員の場合は会社が年末調整で代行してくれますが、フリーランスは自分でやる必要があります。毎年2月16日〜3月15日が申告期間です。

確定申告が必要になる基準

  • フリーランス(専業):所得が基礎控除額(58万円)を超えたら確定申告が必要
  • 副業フリーランス:副業の所得が20万円を超えたら確定申告が必要

ここでいう「所得」は、売上から経費を引いた金額です。

なお、2025年分の確定申告から基礎控除が48万円→58万円に引き上げられました(合計所得金額が低い場合は最大95万円まで拡大される特例もあります)。

ネット上では旧基準の「48万円」が記載された記事もまだ多いので注意してください。

いずれにしても、フリーランスエンジニアとして本格的に案件を受けている方は、ほぼ確実に確定申告が必要になります。

青色申告と白色申告の違い

確定申告には「青色申告」と「白色申告」の2種類があります。

青色申告(65万円控除) 白色申告
特別控除 最大65万円 なし
記帳方法 複式簿記 単式簿記(簡易)
事前届出 必要(青色申告承認申請書) 不要
赤字の繰越 3年間繰越可能 不可
家族への給与 専従者給与として全額経費OK 一定額まで
必要な準備 会計ソフトがほぼ必須 エクセルでも対応可

フリーランスなら青色申告一択の理由

結論から言うと、フリーランスとして本格的に活動するなら青色申告一択です。

65万円の特別控除だけで、所得税+住民税を合わせて年間約15〜20万円の節税になります(課税所得によって変動)。

白色申告は記帳が簡単とはいえ、2014年から白色申告でも記帳義務が課されたため、手間の差はほとんどなくなりました。

「複式簿記が難しそう」と感じるかもしれませんが、会計ソフトを使えば自動で複式簿記の帳簿を作成してくれます。僕自身、簿記の知識ゼロの状態からマネーフォワードを使い始めて、問題なく青色申告できました。

1つだけ注意
青色申告をするには、事前に「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に提出する必要があります。提出期限はその年の3月15日まで(新規開業の場合は開業から2ヶ月以内)。
期限を過ぎると、その年は白色申告になってしまいます。

【月別ロードマップ】初めての確定申告を時系列で解説

確定申告は「年に1回のイベント」ではなく、1年を通した準備の積み重ねです。ここでは、フリーランスとして開業してから確定申告を終えるまでの全手順を、時系列に沿って解説します。

ステップ① 開業時にやること(最重要)

フリーランスとして活動を始めたら、まず以下の届出を税務署に提出します。

提出すべき書類

  • 個人事業の開業届出書:開業から1ヶ月以内に提出(遅れても罰則なし)
  • 所得税の青色申告承認申請書:開業から2ヶ月以内に提出(これを出さないと青色申告できない)

どちらも国税庁のウェブサイトからダウンロードできますし、freeeやマネーフォワードの「開業届作成サービス」を使えば、質問に答えるだけで書類が完成します。

僕の場合
開業前にリサーチして、開業届と青色申告承認申請書を同時に提出しました。おかげで1年目から65万円控除を受けられました。
ただ、周囲のフリーランス仲間には「青色申告承認申請書」の存在を知らずに期限を過ぎてしまい、初年度を白色申告で過ごした人が何人かいます。約15万円の損失になるので、開業届と青色申告承認申請書は必ずセットで出してください

ステップ② 毎月やること(帳簿付け・領収書管理)

青色申告のためには、日々の取引を帳簿に記録する必要があります。

毎月やること(所要時間:15〜30分)

  • 銀行・カードの取引データを会計ソフトに取り込む(自動連携)
  • 取り込んだ取引の勘定科目を確認・登録する
  • 現金払いのレシートをスマホで撮影→会計ソフトに登録
  • 事業用とプライベートの支出が混ざっていないか確認

会計ソフトを使えば、銀行口座やクレジットカードの取引データが自動で取り込まれるので、実際の作業は「確認してOKを押す」がメインです。

最初の数ヶ月は勘定科目の判断に迷いますが、会計ソフトのAIが学習して提案してくれるようになるので、3ヶ月も使えばかなり楽になります。

僕の失敗談
1年目は会計ソフトに取り込まれた取引を見ても「これ経費にしていいのかな…?」と判断がつかず、迷ったものは全部スルーしていました。結果、SaaSの月額課金や技術書の購入費など、本来計上できるはずの経費を年間で数万円分取りこぼしていたことに2年目で気づきました。
「わからないから計上しない」は一番もったいない判断です。迷ったら都度調べる、または月1回まとめて確認する習慣をつけてください。

ステップ③ 年末〜1月にやること(年間集計・書類準備)

12月に入ったら、確定申告に向けた準備を始めます。

年末にやること

  • 12月分の取引をすべて会計ソフトに登録する
  • 年間の経費を勘定科目ごとに集計する
  • 按分率が実態と合っているか確認する
  • 未処理のレシート・領収書がないか最終チェック
1月にやること

  • 控除証明書を集める(生命保険、iDeCo、小規模企業共済、ふるさと納税など)
  • マイナンバーカードの有効期限を確認する(e-Taxに必要)
  • 前年の確定申告書の控えを手元に用意する(2年目以降)

控除証明書は10月〜1月にかけて郵送されてきます。届いたら確定申告まで紛失しないように、封筒にまとめて保管しておきましょう。マイナポータルと連携すれば、多くの控除証明書をオンラインで取得することも可能です。

ステップ④ 2月〜3月にやること(申告書作成・提出)

いよいよ確定申告書の作成と提出です。

申告書作成〜提出の流れ

  1. 会計ソフトで決算書(青色申告決算書)を作成する
  2. 確定申告書を作成する(会計ソフトが自動生成)
  3. 控除証明書の内容を入力する
  4. 内容を最終確認する
  5. e-Taxで電子提出する(マイナンバーカード+スマホorカードリーダー)
  6. 納税する(振替納税、クレジットカード、コンビニ払い等)

会計ソフトを使っていれば、ステップ1〜3はほぼ自動です。毎月の帳簿がきちんと付いていれば、確定申告書の作成自体は1〜2時間で終わります

提出方法はe-Tax(電子申告)が断然おすすめです。65万円の青色申告特別控除を受けるにはe-Taxが必須ですし、2027年分からは紙申告の控除額が大幅に引き下げられます(詳しくは後述)。

e-Tax提出に必要なもの
マイナンバーカード+スマートフォン(またはICカードリーダー)
最近はスマホのNFC機能でマイナンバーカードを読み取って申告できるので、カードリーダーを買わなくても大丈夫です。

確定申告に必要な書類チェックリスト

初めての確定申告で「何を準備すればいいかわからない」という方のために、必要書類をチェックリスト形式でまとめました。

全員必須の書類

  • 確定申告書(第一表・第二表)※会計ソフトが自動生成
  • 青色申告決算書(損益計算書+貸借対照表)※会計ソフトが自動生成
  • マイナンバーカード(e-Taxでの本人確認に必要)
  • 銀行口座情報(還付金の振込先)
  • 源泉徴収票(報酬から源泉徴収されている場合)

控除を受けるための書類(該当するもの)

  • 社会保険料(国民健康保険・国民年金)の支払額
  • 生命保険料控除証明書
  • 小規模企業共済の掛金証明書
  • iDeCoの掛金払込証明書
  • ふるさと納税の寄附金受領証明書
  • 医療費の領収書(年間10万円を超える場合)
  • 住宅ローン控除関連書類(該当する場合)
フリーランスエンジニアがよく使う控除制度の全体像と節税効果は、こちらの記事で詳しく解説しています。

フリーランスの節税対策まとめ|6年実践して効果が大きかった順に解説

初めての確定申告でやりがちな失敗3選

僕の1年目の反省と、フリーランス仲間から聞いた話をもとに、初めての確定申告でやりがちな失敗をまとめました。

失敗①:何を経費にできるかわからず、計上漏れが大量に発生する

僕自身が1年目にやった最大の失敗です。開業届や青色申告の申請は事前リサーチのおかげで問題なく済ませたのですが、「何を経費にしていいかわからない」問題が想像以上に厄介でした。

GitHubの月額課金、ChatGPTの利用料、技術書、自宅の電気代の按分…今なら迷わず経費にするものを、当時は「本当にこれ経費で大丈夫?」と不安で全部スルーしていました。結果、年間で数万円分の経費を計上し損ねていたことに、2年目に気づきました。

対策

「迷ったら調べて計上する」を基本姿勢にする。エンジニアが経費にできるものは以下の記事で網羅しているので、最初に一度目を通しておくと安心です。

フリーランスエンジニアの経費と節税|按分計算・SaaS費用・税務調査まで実践解説

失敗②:青色申告承認申請書を出し忘れる(周囲で多発)

僕は事前にリサーチしていたので回避できましたが、周囲のフリーランス仲間で最も多かった失敗がこれです。開業届は出したけど、青色申告の申請を忘れる(または存在を知らない)パターン。

申請期限はその年の3月15日まで(新規開業なら開業から2ヶ月以内)。期限を1日でも過ぎると、その年は問答無用で白色申告になります。65万円控除を1年分丸ごと失うので、税額にして約15〜20万円の損失です。

対策

開業届と青色申告承認申請書は、必ず同時に提出する。freeeやマネーフォワードの開業届作成サービスを使えば、両方の書類がセットで出力されるので漏れを防げます。

フリーランスエンジニアの経費率がどれくらいが普通なのか気になる方はこちら。

【経費率の実データ公開】フリーランスエンジニアの経費が少ない理由と手取りを増やす戦略

失敗③:レシート・領収書を保管していない

「データで管理しているから紙は捨てた」は危険です。電子帳簿保存法に対応した方法で保存していない場合、紙の領収書の保管義務は7年間あります。

特に注意すべきなのは、クレジットカードの利用明細だけでは「領収書」の代わりにならない場合があること。高額な経費(10万円以上のPC購入など)は、必ず購入時の領収書や納品書を保管しておきましょう。

対策

会計ソフトのスマホアプリでレシートを撮影→電子保存する習慣をつける。電子帳簿保存法の要件を満たせば、紙の原本を廃棄できます。

会計ソフトは必要?|なしで確定申告はできるか

結論:可能だけど、非効率すぎておすすめしない

理論上は、エクセルや手書きの帳簿でも確定申告はできます。ただし、以下の理由から会計ソフトの導入を強くおすすめします。

会計ソフトを使うと何が変わるか

  • 銀行・カード連携で取引データが自動取り込み → 手入力がほぼ不要
  • 勘定科目の自動提案 → 簿記の知識がなくても帳簿が付けられる
  • 確定申告書の自動生成 → 数字を埋める作業が不要
  • e-Tax連携 → ソフトからそのまま電子申告できる
  • 65万円控除の要件を自動クリア → 複式簿記を意識する必要がない

僕の場合、1年目からマネーフォワードを使っていましたが、最初は取り込まれた取引の勘定科目がわからず時間がかかりました。それでも2年目以降はAIの学習が進み、月の帳簿付けが約30分、確定申告書の作成が1〜2時間で終わるようになりました。会計ソフトなしで同じことをやろうとしたら、何倍もの時間がかかっていたはずです。

年額1〜1.5万円のコストはかかりますが、65万円控除で浮く税金(約15〜20万円)を考えれば、元は確実に取れます。

どの会計ソフトを選べばいい?

フリーランス向けの会計ソフトは、freee・マネーフォワード・弥生の3社が定番です。

ざっくり言うと、簿記知識ゼロならfreee、効率重視ならマネーフォワード、コスト重視なら弥生。ただし「自分に合うかどうか」は実際に触ってみないとわかりません。3社とも無料お試し期間があるので、まずは試してみるのがおすすめです。

3社の料金・操作性・自動化機能を実際に使って比較した記事はこちら。

フリーランスエンジニアの会計ソフト比較|freee・マネーフォワード・弥生を使ってわかった違い

自分でやるか税理士に頼むか|判断基準

「初めてだから税理士に頼んだ方がいいのでは?」と迷う方も多いはずです。以下の基準で判断するのがおすすめです。

自分でやるべき人

  • 年間売上が1,000万円以下
  • 取引がシンプル(フリーランスの業務委託がメイン)
  • 会計ソフトを使う意欲がある
  • 費用を抑えたい

フリーランスエンジニアの多くはこちらに該当します。取引の種類が少なく(報酬の入金+経費の支払い)、仕入れや在庫もないので、会計処理がシンプルです。会計ソフトを使えば、簿記の知識がなくても十分に自力で対応できます

僕自身、6年間ずっと自分で確定申告をしてきましたが、税理士に依頼する必要性を感じたことはありません。

税理士に頼むべき人

  • 年間売上が1,000万円を超えた(消費税の申告が必要)
  • 法人化を検討している
  • 複数の収入源がある(不動産、株式、副業など)
  • 経理に時間をかけたくない(時間単価が高い)
  • 初年度だけでもプロに見てもらいたい

特に「初年度だけ税理士に依頼して、やり方を教わってから2年目以降は自分でやる」というパターンはおすすめです。税理士への依頼費用は年間10〜20万円程度ですが、初年度に正しいやり方を身につければ、2年目以降のコストを節約できます。


2027年分からの税制改正|今から準備すべきこと

2027年分(令和9年分)の確定申告から、青色申告特別控除が大きく変わります。これからフリーランスを始める方は、最初からこの改正に対応した準備をしておくと安心です。

青色申告特別控除の変更点

区分 現行(〜2026年分) 改正後(2027年分〜)
e-Tax+複式簿記+電子帳簿保存 65万円 75万円(10万円アップ)
e-Tax+複式簿記 65万円 65万円(据え置き)
紙で申告 55万円 10万円(45万円ダウン)

最大のポイントは2つです。

紙申告の控除が55万円→10万円に激減します。紙で申告している人は、控除が45万円も減るため、手取りに直結する大打撃です。今のうちにe-Taxでの申告に切り替えてください。

一方、e-Tax+電子帳簿保存なら控除が75万円にアップします。10万円の上乗せを受けるには「電子帳簿保存法に対応した帳簿保存」が必要です。多くの会計ソフトは電子帳簿保存法に対応しているので、会計ソフトを使っていれば条件を満たしやすいです。

今から準備すべきこと

  • 会計ソフトを導入する(まだの方は今すぐ。電子帳簿保存に対応したソフトを選ぶ)
  • マイナンバーカードを取得する(e-Taxに必須)
  • e-Taxの利用登録を済ませる(初回は少し手間がかかる)

会計ソフトの選び方について詳しくはこちら。

【3年使った結論】フリーランスエンジニア向け会計ソフト3選|比較と選び方

まとめ|初めての確定申告は「準備」で9割決まる

初めての確定申告は不安に感じるかもしれませんが、正しい順番で準備すれば、自力で問題なくできます

やるべきことの優先順位

  1. 開業届+青色申告承認申請書を提出する(開業から2ヶ月以内)
  2. 会計ソフトを導入する(銀行・カード連携で帳簿付けを自動化)
  3. 毎月30分だけ帳簿を整理する(年末まとめ処理は失敗のもと)
  4. e-Taxで電子申告する(65万円控除の必須条件)
  5. 経費の計上漏れをなくす(SaaS・按分・学習費を確認)
  6. 経費以外の節税制度をフル活用する(小規模企業共済・iDeCo・ふるさと納税)

僕は1年目に青色申告の申請を忘れて約15万円損しました。でも2年目からは正しい手順で青色申告に切り替え、会計ソフトのおかげで毎月30分の帳簿付けだけで確定申告がスムーズに終わるようになりました。

この記事を読んでいる時点で、1年目の僕より確実にスタートダッシュが切れるはずです。まずは開業届と青色申告承認申請書の提出から始めてみてください。

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