- 個人事業税とは?
- フリーランスエンジニアも個人事業税はかかる?
本記事の内容
- 個人事業税とは?
- エンジニアは個人事業税がかかる?
- 使える節税対策
本記事では、意外と見落としがちな「個人事業税」について、解説していきます。
個人事業税とは?
個人事業税とは、地方税の一種で、事業を営む個人に課される税金です。
簡単に言うと「ある程度以上の収入がある個人事業主に課される税金」です。
個人事業税の対象になる人
個人事業税の課税対象になるのは、下記の条件に該当する場合です。
- 事務所や事業所を持っている
- 年間の事業収入から経費を引いた額(事業所得)が290万円を超える
- 地方税法等で定められた「事業(法定業種)」に該当する
事業所得が290万円まで満たない場合は、個人事業税の対象外になります。
事業(法定業種)
個人事業税の対象事業は、地方税法等で定められた「事業(法定業種)」によって区分され、税率は区分によって3%~5%と変わります。
・第2種事業:畜産業、水産業、薪炭製造業3業種
・第3種事業:医業、弁護士業、コンサルタント業、理容業など30業種
個人事業税の計算方法
個人事業税の税額は以下のように計算します。
実際の計算は各県税事務所で行われ、納税者には通知が来るため、あまり細かく知る必要はありません。
個人事業税の納付は原則として8月と11月の年2回で、県税事務所から届く納税通知書によって各納期に納めます。
対象となる人は、ある程度手元資金を備えておく必要があります。
個人事業税の納付方法
納付書による現金納付や口座振替のほか、インターネットバンキングやATMによるペイジー納付、スマートフォン決済アプリによる納付、クレジットカード納付などが選べます。
個人事業税は経費に計上できる
個人事業税は経費として計上できます。
個人事業税は事業を営むうえでの必要な支出に当てはまるため、経費計上が可能です。
会計処理の際は「租税公課」の勘定項目を使います。
個人事業税を納付した際の仕訳(個人事業税額が10万円の場合)
科目 | 金額 | 科目 | 金額 |
---|---|---|---|
租税公課 | 100,000 | 普通預金 | 100,000 |
エンジニアは個人事業税がかかる?
結論から言うと、事業内容や地域(都道府県)によって、個人事業税の課税対象になるかどうか異なります。
事業区分の判断基準が統一されていないために、税事務所の担当者によって取り扱いが異なることに注意が必要です。
システムエンジニアやプログラマーの場合を例に挙げてみます。
東京都の場合では、事業は「システム開発業務」に該当するため、業務委託契約や請負契約に関わらず課税対象外と判断される見解になります。
千葉県の場合だと、同じ業務内容でも「業務委託契約」であれば、どの事業区分にも当てはまらないため課税対象外となる可能性が高いが、「請負契約」で得た事業所得に関しては第一事業の「請負業」に当てはまるため、個人事業税の対象となる見解を示しているようです。
「業務委託契約」でも課税対象外となる可能性が高いというのは、確定申告などの書類から総合的に判断しないといけないというニュアンスが込められています。
エンジニアが携わる事業には幅があり、業務内容によって取り扱いが異なるため、一律での判断が難しいのが現実です。
疑問や不安に感じる場合は、管轄の県税事務所に問い合わせたほうが確実といえるでしょう。
使える節税対策
経費をしっかり記録する
必要経費を適切に計上することは、課税所得を減らすための基本です。
以下のような項目を漏れなく計上するようにしましょう。
- パソコンやソフトウェア: エンジニア業務に必要なツールやライセンス費用
- 通信費: インターネット回線やモバイル通信費
- 書籍やオンライン教材: 業務関連の技術書やスキルアップのための教材
- セミナーや勉強会の参加費: 業務に関連するイベント参加費
各種控除を活用
各種控除を活用することで、節税対策が可能です。
- 青色申告の特別控除(最大65万円)
- 小規模企業共済
- iDeCo(個人型確定拠出年金)
青色申告特別控除の活用
青色申告を行うことで、最大65万円の特別控除を受けることができます。
正確な帳簿付けと確定申告を期限内に手続きする必要があります。
小規模企業共済の活用
小規模企業共済は、フリーランスや個人事業主が利用できる退職金制度で、掛金が全額所得控除の対象となります。
掛金は月額1,000円から70,000円まで自由に設定可能で、節税しながら将来の資金を準備できます。
例えば、月額30,000円を積み立てた場合、年間で36万円が所得控除されます。
iDeCo(個人型確定拠出年金)の利用
iDeCoは、自分で積み立てた資金を運用しながら老後資金を準備する制度です。掛金が全額所得控除の対象となるため、節税効果があります。
節税しつつ、老後資金を効率よく準備可能です。
まとめ
押さえておきたい3つのポイント
- 事業所得が290万円超える場合は課税対象になる
- 事業内容や契約形態、管轄の県税事務所により、課税対象かどうか要確認
- 適切な経費管理と各種控除の活用が節税につながる