
この記事を開いたあなたは、おそらく今フリーランスとして働きながらも、どこかで会社員に戻ることを考え始めているのではないでしょうか。
僕自身、もともと建設・商社で営業をやっていました。そこからエンジニアに転身すると同時にフリーランスとして独立し、6年間活動してきました。
そして2026年1月、会社員に戻る決断をしました。
「6年もフリーランスやって今さら会社員?」「それって負けじゃないの?」
正直、自分でもそう感じた時期はありました。でも3ヶ月が経った今、はっきり言えることがあります。会社員に戻ったことは「負け」ではなく「戦略」だったと。
この記事では、フリーランスエンジニアを6年やって会社員に戻った僕の「3ヶ月間のリアルな本音」を、良いことも悪いこともすべてお話しします。
Contents
そもそもなぜ6年続けたフリーランスを辞めたのか
営業→フリーランスエンジニアという異色のキャリア
僕のキャリアはちょっと変わっています。
新卒で建設業界に入り、その後商社で営業を経験してきました。ITとはまったく別の世界にいました。
そこからプログラミングを学び、エンジニアに転身したタイミングでいきなりフリーランスとして独立した経歴です。
「未経験からいきなりフリーランス?」と思われるかもしれませんが、当時の僕は「せっかくキャリアを変えるなら、最初から経験を積める働き方をしたい」と考えていました。
結果的に、フリーランスとして6年間やっていけました。案件にも恵まれ、収入面でも特に困ることはなかったです。
フリーランスエンジニアとしてのリアルな生活については、こちらの記事で詳しくお話ししています。
「自由で高収入」の裏にあった漠然とした不安
フリーランスとしての生活は、正直悪くありませんでした。
好きな場所で働くことも可能ですし、収入自体は営業の時の給料より高い。一般的に言われる「フリーランスの自由」は確かに手に入っていました。
転機になったのは、長く参画していた案件が終了したタイミングでした。次のフリーランス案件を探そうとしたとき、ふと頭に浮かんだのは「次の案件をどうするか」ではなく、「この仕事を長く続けるにはどうしたらいいか?」という問いだったんです。
それまでは「次の案件」「次の契約」と短期的なサイクルを回すこともあり、結構しんどかったです。でもこの問いが浮かんだ瞬間、自分が求めているのは「次の案件」ではなく「長期的なキャリアの安定」だと気づきました。
フリーランスエンジニアとして案件に参画する日々は、正直に言えば実質的に会社員と大きく変わらない働き方でした。決まった時間に稼働して、クライアントの指示のもとで開発する。違うのは契約形態だけでした。
それなのに、社会保険も退職金もない。キャリアアップの道筋も自分で描かなければいけない。スキル面でも、得意な領域の案件ばかりを選んでしまいがちで、新しい技術に挑戦する機会が少なくなっていました。
「逃げ」ではなく「戦略的撤退」だった理由
会社員に戻ることを考え始めたとき、一番引っかかったのは「負けた」と思われるんじゃないかという気持ちでした。
でも冷静に考えると、会社員でしか得られないものがたくさんあります。
PM経験やチームマネジメント
フリーランスの案件参画では、基本的に「一人の開発者」として参加するので、マネジメント経験はなかなか積むことが難しかった。
チーム開発の厚み
コードレビュー、設計議論、ペアプロなど、チームだからこそ得られる学びがある。
社内の技術資産やナレッジへのアクセス
フリーランスだと、現場単位の付き合いで終わることが多くなる。
加えて、僕には営業の経験があり、エンジニアとしての技術力に加えて、ビジネスサイドとの橋渡しができます。
この強みを活かすには、組織の中にいたほうが価値を発揮しやすいと考えました。
フリーランスが嫌になったわけでも、食えなくなったわけでもない。
「今の自分に必要な環境はどっちか」を考えた結果の選択でした。
会社員に戻って3ヶ月|正直よかった5つのこと
ここからは、実際に3ヶ月会社員として働いてみて「よかった」と感じていることを正直にお話しします。
①「案件が途切れるかもしれない」という不安からの解放
これは想像以上に大きかったです。
フリーランスは月単価での契約なので、参画中の案件の金額面では不安はありませんでした。契約時に金額を了承してサインするので、「今月の報酬はいくらになるんだろう」という心配はなかったです。
問題は「案件と案件の間」です。
次の案件がちゃんと決まるのか。面談はうまくいくのか。案件が終了するたびに、この不安がやってきます。6年やっていても、この緊張感は慣れるものではありませんでした。
会社員になって、「次の仕事を自分で探さなくていい」という状態がデフォルトになった。この当たり前のことが、精神的にこれほどの余裕を生むとは思っていませんでした。
その余裕のおかげで、仕事以外の時間を個人開発や副業に集中して充てられるようになったのは、予想外の副産物でした。
②「所属先がある」という安心感の大きさ
正直に言うと、仕事内容自体はフリーランス時代と大きくは変わりません。案件に参画して開発するという働き方はほぼ同じです。
でも、「自分が所属する会社がある」という事実だけで、仕事への向き合い方が変わりました。フリーランスの案件参画は、どこまでいっても「外部の人間」。困ったときに気軽に相談できる自社のメンバーがいるのは、地味だけど心強いです。
劇的な変化があったわけではなく、日々の仕事の中でじわじわ感じる安心感。
これが3ヶ月の中で一番「よかった」と思えるポイントかもしれません。
③フリーランス経験が「武器」として活きている
これは嬉しい誤算でした。
「元フリーランス」という経歴は、転職市場ではネガティブに見られることもあると聞いていました。でも実際に会社に入ってみると、むしろポジティブに受け取られることのほうが多いです。
特に実感しているのは、コミュニケーションの取り方です。フリーランスとして複数の現場を渡り歩いてきたからこそ、チャットでの伝え方やオンライン通話での説明の仕方を自然と意識できるようになっていた。これはフリーランス経験だけが要因ではないかもしれませんが、さまざまな現場で異なるチーム文化に適応してきた経験は確実に活きていると感じます。
加えて、自走力や、自分で案件を回してきたセルフマネジメント力。これらが社内で「頼りになる」と思ってもらえる場面は多く、フリーランスの6年間は無駄じゃなかったと実感しています。
④社会保険と福利厚生のありがたさを痛感した
会社員に戻って、給与明細を見たときに改めて実感しました。社会保険料の自己負担が、フリーランス時代と全然違うということです。
フリーランスは国民健康保険と国民年金を全額自分で払います。会社員は厚生年金・健康保険を会社と折半です。頭ではわかっていたつもりでしたが、実際に天引き後の手取りを見て「あ、フリーランスのときの保険料負担って本当に大きかったんだな」と改めて感じました。
それに加えて、書籍の購入制度があったり、最近だとClaudeなどのAIツールの利用料を会社が補助してくれたり。フリーランスだと全部自腹だったものが、会社の経費で賄えるのは素直に嬉しいです。
こうした「地味だけど確実に効いてくる」メリットの積み重ねは、長期で見ると大きな差になります。
⑤社会的信用が回復してライフプランが描きやすくなった
フリーランスをやっていると、社会的信用の低さを実感する場面が何度もありました。クレジットカードの審査、賃貸の契約、ローンの相談…など。
会社員になった途端、こうしたストレスがほぼなくなりました。ライフプランを考えるうえで、この安心感は地味だけど確実に大きいです。
30代に入って、将来のことをより現実的に考えるようになった今、この「信用」の価値は以前よりもずっと重く感じます。
会社員に戻って3ヶ月|想定外だった3つのこと
良いことばかりではありません。「思ってたのと違うな」と感じたこともあります。
①スケジュールの自由度が想像以上に変わった
頭ではわかっていたつもりでした。でも実際に体験すると、やっぱりギャップはあります。
フリーランス時代は、案件の就労条件(勤務時間の下限・上限)さえ守れば、スケジュールは自分で組めました。「今日は午前中に用事を済ませて、午後から稼働しよう」みたいな調整も、案件の条件の範囲内であれば柔軟にできた。
会社員の場合は、参画先の案件だけでなく、所属会社の勤怠にも合わせる必要があります。つまり「案件的にはOK」でも「会社のルール的にはNG」という場面が出てくるんです。
特に感じたのは、休みの取りにくさです。フリーランスのときよりも調整が一手間増えた感覚があり、ここは少し不便さを感じました。
②「フリーランスに戻りたい」と思う瞬間もある
これは正直に言います。
会議が続いたとき。承認フローを待つとき。「これ、フリーランスなら自分の判断でサクッと進められるのに」と思うことは、3ヶ月経った今でもゼロではありません。
組織の意思決定のスピード感は、フリーランスのそれとは明確に違います。
でも同時に気づいたのは、これは「隣の芝は青い」現象だということです。フリーランス時代は「チームで相談できたらいいのに」と思っていたし、今は「一人で決められたらいいのに」と思う。結局、どちらにもトレードオフはあるんですよね。
③仕事内容はほぼ同じなのに「感じ方」が違う
これが一番面白い発見でした。
僕の場合、フリーランス時代も会社員の今も、やっていることは基本的に同じです。クライアントの案件に参画して開発するという働き方は変わっていません。
なのに、仕事に対する「感じ方」が違うんです。
フリーランスのときは、どこかで「自分で全部背負わなきゃ」という緊張感がありました。案件がうまくいかなかったら次はないかもしれない、とか考えたりしたこともありました。
会社員になってからは、同じ仕事をしていても「所属しているチームがある」「困ったら相談できる人がいる」という安心感がベースにあります。この心理的な違いが、仕事の質やパフォーマンスにも影響しているように感じます。
フリーランスから会社員に戻って3ヶ月|ぶっちゃけ後悔してる?
ここまで読んで、一番気になるのはこの質問だと思います。
結論:後悔はしていない。でも「正解」かはまだわからない
正直に言えば、後悔はまったくしていません。
収入面で大きなダウンはないし、精神的な安定は確実に増しました。チームでの成長実感もある。フリーランス時代の経験が活きている場面も多いと感じます。
ただ、「これが正解だったか?」と聞かれると、まだ3ヶ月では断言できないというのが本音です。半年後、1年後に振り返ったとき、また違う感想が出てくるかもしれない。
でもそれでいいと思っています。大事なのは「正解を選ぶこと」ではなく「自分で選んだ道を正解にしていくこと」だからです。
フリーランスの6年間は無駄じゃなかった
会社員に戻ったからといって、フリーランスの6年間を否定するつもりはまったくありません。
むしろ、あの6年間があったから今のポジションがあると確信しています。
複数の現場で培った技術力、自分で営業して案件を獲得した経験、一人で確定申告や契約管理をこなした自律性。これらはすべて、会社員としての自分の価値を高めてくれています。
「フリーランスか会社員か」という二者択一で考えるのではなく、どちらも自分のキャリアの一部として捉える。そう考えると、フリーランスを経験してから会社員に戻るというルートは、実はかなり強いキャリア戦略だと思います。
会社員に戻るか迷っている人に伝えたいこと
最後に、今まさにフリーランスから会社員に戻るか迷っている方に向けて、僕なりのメッセージを送ります。
「負け」「逃げ」と感じるのは自然なこと
もし今あなたが「会社員に戻るのは負けなんじゃないか」と感じているなら、それはごく自然な感情です。僕も同じでした。
フリーランスという働き方を選んだ以上、「続けることが正義」と思いたくなります。周りのフリーランス仲間が頑張っているのを見ると、自分だけ離脱するのが申し訳ないと感じることも。そんな気持ちもよくわかります。
でも、周りの目を気にして合わない環境に居続けるほうが、よっぽどもったいないです。
「5年後の自分がどうなっていたいか」を基準に考えてみてください。その答えが会社員のほうが近いなら、それは「負け」ではなく「戦略」です。
戻るなら準備しておくべき3つのこと
もし会社員に戻る方向で気持ちが固まったら、以下の3つを意識しておくとスムーズです。
①フリーランスの実績を「転職市場の言葉」に翻訳する
フリーランスの経歴って、転職活動ではそのまま伝わりにくいことがあります。「案件に参画していました」だけでは、採用側は評価しづらい。どんな規模のプロジェクトで、どんな役割を担い、何を成果として出したのかを、会社員の職務経歴書のフォーマットに落とし込む作業が必要です。
②会社員に戻る「目的」を明確にする
なんとなく「安定がほしい」だけだと、入社後にギャップを感じやすいです。「PMの経験を積みたい」「チーム開発のスキルを高めたい」「特定の技術領域を深めたい」など、会社員として得たいものを具体的にしておくと、会社選びの軸がブレません。
③副業・個人開発を続ける前提で会社を選ぶ
フリーランスの経験がある人にとって、「自分の事業」を完全にゼロにするのは精神的にきついはずです。副業OKか、個人開発を認めてくれるか、この確認は会社選びの段階で必ずしておきましょう。
会社員への具体的な転職ステップは、こちらの記事で詳しく解説しています↓
フリーランスを辞める際の事務手続きは、こちらの記事です↓
まとめ
フリーランスから会社員に戻ることは、「負け」でも「逃げ」でもありません。
僕は営業からエンジニアに転身し、フリーランスとして6年活動し、そして会社員に戻りました。3ヶ月経った今の実感をまとめると、こうなります。
- 「自由」を手放した分、「安心」と「成長機会」を手に入れた
- フリーランスの6年間は、会社員としての強力な武器になっている
- 後悔はない。でも「正解」は自分で作っていくもの
大事なのは「フリーランスか会社員か」という二者択一ではなく、今の自分に必要な環境を、自分の意思で選ぶことです。
どちらを選んでも、あなたの経験は必ず活きます。この記事が、あなたのキャリア選択の参考になれば嬉しいです。




