「説明が難しい」をなくそう!エンジニアのための実践コミュニケーション

「説明が難しい」をなくそう!エンジニアのための実践コミュニケーション プログラミング
  • エンジニアにコミュニケーション力は必要?
  • どんなコミュニケーションスキルを身につけるべき?

エンジニアは「優れたコードを書けば、それだけで評価される」という時代ではなくなりました。
現代のエンジニアに求められているのは、技術力と同じくらい重要な「コミュニケーション力」です。

例えば、このようにコミュニケーションが足りずに上手く意思疎通ができなかった経験はありませんか?

・非常に役立つシステムを作ったのに、その価値をうまく伝えられない
・営業・企画チームとの会議で、お互いの言葉・意図が通じ合わない

本記事の内容

  • エンジニアならではのコミュニケーションの壁
  • 【現場で使える】エンジニアのためのコミュニケーション術
  • 【成功事例に学ぶ】コミュニケーションが生んだ変化
  • 明日から始められるコミュニケーション改善のステップ



この記事ではエンジニアのためのコミュニケーションスキルの磨き方を詳しく見ていきます。

エンジニアならではのコミュニケーションの壁

専門用語の壁

「API」「スケーラビリティ」「リファクタリング」
私たちにとって当たり前の言葉も、非エンジニアには外国語同然です。

説明の壁

システムの細かな仕組みより、「それで何が良くなるのか」を求められることが多いのに、つい技術的な説明に偏ってしまいがちです。

文化・言語の壁

グローバル化やリモートワークの普及により、異なる文化背景を持つメンバーとの協業が当たり前に。しかし、そこには新たなコミュニケーションの課題が潜んでいます。

【現場で使える】エンジニアのためのコミュニケーション術

非技術者への説明テクニック

3ステップでの説明法
・結論から話す
・メリットを示す
・具体例を添える
実践例
❌ 悪い例:
「ElasticSearchを導入することで、インデックスベースの検索が可能になり、
クエリのレイテンシーが大幅に改善されます」
⭕ 良い例:
「検索機能を10倍速くできます(結論)。
お客様の待ち時間が減り、満足度が上がります(メリット)。
例えば、いまの3秒かかる検索が0.3秒で完了します(具体例)」

効果的な会議・提案の進め方

最初の3分で核心を伝える

0:00-1:00 → 結論と主要なメリット

最初の10秒
・「本日は○○についてご提案させていただきます」
・「結論から申し上げますと…」
残り50秒
・主要なメリット(3点まで)を簡潔に
・数値やビジネスインパクトを具体的に

良い例
「新しい検索システムの導入をご提案します。これにより、①検索速度が現状の10倍に ②システム負荷を50%削減 ③月間運用コストを30%カット が実現できます」
1:00-2:00 → 具体的な実装方法

実装の概要(30秒)
・図解を使用
・段階的な実装計画
・必要なリソース
リスクと対策(30秒)
・予想される課題
・具体的な対応策

※視覚的に分かりやすい図などの補足資料を活用するのも良いです。
2:00-3:00 → 必要な対応と次のステップ

タイムライン(20秒)
・主要マイルストーン
・期待される成果時期
確認事項(20秒)
・予算
・リソース
・スケジュール
次のステップ(20秒)
・具体的なアクション項目
・決定が必要な事項

技術的な詳細は補足資料として用意

視覚的な説明ツールの活用

システム構成図のパターン(シンプルパターン)

ユーザー → Webサーバー → データベース
プロセスフロー図の例

企画検討 → 要件定義 → 設計 → 開発 → テスト → リリース

各フェーズで具体的なタイムライン表示

質疑応答での対応術

  1. 質問の意図を確認
    「〇〇についてのご質問という理解で合っていますか?」
  2. 簡潔に回答
    「結論から申し上げますと…」
  3. 補足説明を提案
    「詳しい技術的な説明が必要でしたら、別途お時間をいただけますか?」

危機管理

状況別の対応フレーズ集

遅延が発生した場合
「現在の進捗は70%です。完了まで約2時間要します。
影響を最小限にするため、暫定対応として…」
予期せぬ問題が発生した場合
「想定外の動作を確認しました。現在原因を調査中です。
応急処置として…を実施しています」
計画変更が必要な場合
「リスクを検討した結果、以下の代替案を提案させていただきます…」
「説明が難しい」をなくそう!エンジニアのための実践コミュニケーション

【成功事例に学ぶ】コミュニケーションが生んだ変化

(事例1) 営業チームとの連携による大型案件獲得

とあるエンジニアチームは、新システムの提案時に営業チームと週1回の勉強会を実施。
その結果、営業からの的確な提案が可能になり、受注率が1.5倍に向上しました。

(事例2) 早期の課題発見でプロジェクト危機を回避

定期的な状況確認と率直な課題共有により、プロジェクトの遅延リスクを早期に特定。
適切な対応で納期内での完了を実現しました。

明日から始められるコミュニケーション改善のステップ

技術用語を日常語に置き換える練習をする

専門的な技術用語を一般的な表現に言い換え、非エンジニアにも分かる説明方法を考える意識を持ちます。

・バグ → 「システムの不具合」
・サーバー → 「データを保管・処理する専用コンピュータ」
・キャッシュ → 「よく使うデータを手元に置いておく仕組み」
・アルゴリズム → 「データを処理する手順」
・レスポンスタイム → 「システムの応答時間」

非エンジニアとの対話機会を積極的に作る

意識的にエンジニアではない人達とコミュニケーションを図ります。

・社内の勉強会やワークショップに積極的に参加
・チャットツール(Slackなど)での雑談チャンネル等で他部署との会話に参加
仕事繋がりでの非エンジニアに、普段あまり聞かないような質問をすることも効果的です。
・普段の業務でどんな課題を感じていますか?
・システムを使う上で不便に感じる点は?
・エンジニアにもっと知ってほしいことは?

視覚化ツールの活用

視覚化ツールを活用することで、相手に伝えたい内容を正確に伝えることができるでしょう。

・企画書やプレゼンに図解を積極的に取り入れる
・Mermaid、Draw.ioなどのツールを使いこなす
・複雑な概念は必ず図解化してみる

図解パターンは、以下のような形式が効果的です。

効果的な図解パターン
・プロセスの流れ → フローチャート
・システム構成 → アーキテクチャ図
・比較検討 → 表形式
・概念説明 → マインドマップ

すべてを一度に始めようとせず、一つずつ意識してみましょう。
基本的な技術説明が非エンジニアにも伝わりやすくなり、チーム間のコミュニケーション、プロジェクト全体の進行がよりスムーズになっていきます。

まとめ

技術力×コミュニケーション力は、エンジニアとしての強みになります。
エンジニアのコミュニケーション力は、もはや「あれば便利」なスキルではありません。あなたの技術力を最大限に活かすための必須スキルです。

完璧なコミュニケーションを目指す必要はありません。
まずは小さな一歩から始めてみましょう。